技術志向と営業志向

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自分はエンジニアですが、どちらかというと技術志向ではありません。
かと言って営業志向でもありません。
物事の本質はバランスだと思ってますから、どちらにも傾かないことを志向してます。笑

とはいえ、エンジニアになりたての頃(独立前)は技術志向でした。
必死で技術を勉強して、周りに追いつけ追い越せと通勤時間や土日に技術の勉強。
技術がわかれば何でもできると思っていました。、
それが変化したのはリーダー、プロマネをやるようになってからです。

物事には良い面もあれば悪い面もあります、
技術志向の主な弊害としては、目的を達成するために不必要に難解な技術を利用して、組織の生産性を落とすパターンがあります。

例えば最新技術を不必要に利用するパターン。
もちろん、新しい技術を利用するメリットはエンジニアにとって言うまでもなく大きなメリットがありますが、その分、作業量が増えることになります。
最新技術でなくとも、かっこいい技術や、なんとなく良さげな技術、とか、なんだか意味のわからない理由で難解な流行の技術を無駄に利用するケースもよくあります。
納期遅延や予算超過、顧客要件の未達成のリスクが非常に高まります。

生産性という意味では、それを高めるためのツール類を利用せず、昔ながらの方法を利用させるパターンも見かけます。
例えばCUIでの操作はOSやミドルウェアの本質を理解するのに必要ですが、必要とする場合にのみそれを利用すれば良いのであって、普段はGUIでやらせるべきです。ましてやプロジェクトのスタンダードにするべきではないでしょう。

同様に難解なツールを使いたがるエンジニアもいますが、それをプロジェクトメンバーに周知させる分だけ時間もかかるし、万が一使いこなせないメンバーが、間違ったツールの使い方で、致命的な失敗を犯す可能性もあります。

また、一時期激しかったですが、IEを利用しないWEB開発者も、技術志向のエンジニアに多いです。
顧客のほとんどはIEを利用しているわけですから、IEの挙動・クセとか、知らないとダメなわけです。
同様に、アンチMS・Windows(?)ということで、Linuxで仕事してるエンジニアとか、一人でやる分には良いのですが、プロジェクトに一人でもこういった技術志向エンジニアがいると、言葉が通じなかったりだとか、システムの挙動が周りと異なったり、けっこう困るのです。

そして、このような技術志向エンジニアがリーダーをすると、これをメンバーに押し付けるので結果的に生産性が上がらないのです。
上司は、技術が分かっていると安心だからといって、技術の詳しい人間をリーダーにさせたがるようですが、これは間違いです

経験則上、技術偏重のエンジニアがリーダーもしくはプロマネをした場合、高い確率で納期遅延や予算超過、顧客要件の未達成が発生しています。
ただし、そのリーダーもしくはプロマネが自分で総作業量の半分以上設計・コーディングしている場合は、その限りでないようです。(メンバーは退屈するか成長性が下がりますが。。。)

技術偏重をスタンダーにすると生産性が間違いなく下がります。
何をスタンダードにするかは、よお~く考える必要がありますね。

さて、続いて営業志向ですが、ようするに「儲かれば良い」志向です。

・その典型は、できない仕事を引き受ける。 → 論外
・アウトプットが同じならプロセスは何でもよい → 違法建築と同じ理論(脆弱なシステムが出来上がる)
・中間マージンをたっぷり取って丸投げ。 → 下請けが赤字になり、結果システムが脆弱になる
・丸投げしてるのに顧客には自分がやってるように見せる → 顧客が技術担当者と密にコミュニケートできず不安

この業界は、いわゆるブローカー的に稼いでいる人も意外に多いです。
悪いとは言いませんが、上のような弊害が、たいてい発生しています。
ブローカーをするなら弊害をなくすべきです。

例えば、会社とは名ばかりで、実は昼はサラリーマンをしていて、空いた時間を使って案件を右から左に流してガッポリ儲けている人もいます。
そんな人から仕事が回ってくることもありますが、トラブル続出です。
(自分も読みましたが)「稼ぐが勝ち」なんていう本を書いて結果、大失敗した社長さんもいますから、これからの時代、そういう「金がすべて」みたいなやり方をして成功できるほど世の中はバカではないということですね。

そもそも、この業界は建設業界と同じような「丸投げ」が頻繁にありますが、大手は、その辺は弊害が発生しないようにうまくやっているのです。
それを個人や中小零細ベースでは、いろんな意味で余裕がなく、うまくやれない場合が多いのです。
丸投げが悪いとは言いませんが、そのやり方を間違うと大失敗するという事ですね。

技術志向と営業志向、それぞれが行き過ぎた場合の弊害を排除すれば、結果的にバランスよく双方がミックスされて、プロジェクトの成功につながるのかなと思います。

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